後で症状が出る、痛みが強くなる場合もあります。事故後の症状は些細なことも病院、整骨院の先生に伝えて診察をうけて下さい。

先日来院された患者さんの話です。

最初は首の軽い痛みだけだったので様子をみていたら、2週間ぐらい経って徐々に痛みが増して、背中や腰、手の痺れまで出てきたとので来院したということがありました。このように事故直後だけではなく、日にちが経ってから現れる症状もあります。

外傷性頸部症候群(がいしょうせいけいぶしょうこうぐん)は一般には、むち打ち症、またはむち打ち損傷という俗称で呼ばれています。

交通事故による首部やその周辺の打ち身・捻挫・骨折・頭部外傷などをムチウチ症と通称名で呼ぶ事が多く、「外傷性頚部症候群」「頚部捻挫」として診断名がつけられる事が多いです。交通事故のほかに労働災害やスポーツ障害によって起こされる事もあります。

「むち打ち症」

鞭振り症とでもいうべきで、軀幹(胴体)の上にやや不安定な状態で乗っている重い頭部が、強い衝撃により、軀幹とは別の、鞭を振り回してしなったときのような、S字形の動きを強いられ、それによって、様々な症状が出現する疾患です。

診断

靭帯(じんたい)や関節包、筋肉などの障害のため、外見上あるいはX線診断における変化は見られないことが多い。X線・MRIとも年齢に応じた変性変化を認めますが、外傷との関係はありません。骨折や脱臼がないことは確認が必要です。
頚椎症による骨棘があると、MRIでは椎間板の後方への膨隆に見えるため、誤って「椎間板ヘルニア」と誤って診断される場合もあります。

原因と病態

受傷時に反射的に頚椎に対する損傷を避ける防御のための筋緊張が生じ、衝撃の大きさによっては筋の部分断裂や靭帯の損傷が生じています。

受傷後しばらくの間(1~3か月)は局所に痛みが生じますが、この期間に局所を安静にする習慣がつけば痛みが長引く原因となります。骨折や脱臼がないのに長期にわたって頚椎のカラー装着を行うと、頚部痛や肩こりが長期化する原因となります。

 症状

いわゆる「ムチウチ損傷」では、事故にあったその日はほとんど症状が出ず、翌日あたりから様々な症状が出現することが数多く報告されている。また首筋、背中、肩のこり感や痛み、耳鳴り・頭痛・めまい・吐き気・食欲などの不定愁訴などの様々な症状が患者側から訴えがある事はあるが、医学的には認められるものは少ない。交通事故などで頚部の挫傷(くびの捻挫)の後、長期間にわたって頚部痛、肩コリ、頭痛、めまい、手の痺れ、などの症状がでます。X線(レントゲン)検査での骨折や脱臼は認められません。

むち打ち損傷」「外傷性低髄液圧症候群」「外傷性髄液減少症」などの正確ではない病名が付いていることも少なくありません。

 治療

レントゲンなどで異常が確認されない場合には、首部、腰部を牽引機器を用いての物理療法が行われる事が多いが、これにより症状が改善した例は少ない。 首・肩のこりや不定愁訴に対しては、鍼灸やマッサージが著効を示すことがある。骨折や脱臼がなければ、1週間程安静の後は頚椎を動かすことが痛みの長期化の予防となります。安静期間はできるだけ短い方がよいでしょう。慢性期には安静や生活制限は行わず、ストレッチを中心とした体操をしっかり行うことが最良の治療となります。